たとえば、ある長さの製品を測定機Aと測定機Bで各20回測定した結果が図1だとします。さて、信頼性はどちらが高いのでしょう。
この場合、バラツキが少ないAを信頼性が高いと考えるのが普通だと思いますが、仮に「真値」がBの中にあるとするならばどうでしょう。そうすると、どちらの信頼性が高いのか、明確に言えなくなります。
しかしながら、実際にはこの「真値」がどこにあるのかは知りようがありません。つまり、測定結果の信頼性を評価するためには、「真値」がどこに存在するのか不明であることを踏まえた上で、測定結果がどれだけ「真値」に近いかを推定するという高いハードルを越えなければなりません。
図2は「測定の不確かさ」の概念ができるまでの信頼性がどう表現されていたかを表したものです。(結果が正規分布するものと仮定)こうしてみると、実際の生産工程では知り得ない「真値」や「母平均」などを使って定義されたものが多いことがわかります。
この信頼性の表現の曖昧さの是正と国際標準化を目的として、測定結果が様々な要因の影響でばらつく度合いを推定する手法が検討され、1993年にはISOおよび7つの国際機関が合同で「不確かさの表現に関するガイド(GUM)」を刊行しました。GUMは「不確かさ」を「測定の結果に付随した合理的に測定量に結び付けられ得る値のバラツキを特徴づけるパラメータ」と定義し、評価手順に「真値」や「測定誤差」といった原理的に知り得ない量は使用しないとされています。
「不確かさ」には3種類があります。
これらを関連づけて説明するなら、「全ての不確かさ要因を検討して合成標準不確かさを算出したうえでそれで得られる数値は (68% 信頼区間) なので、(95% 信頼区間)を示すために係数をかけたのが拡張不確かさです。(図3に示されているように)」ということになります。
これらの不確かさを表したものが図3です。
以上を基本とし、不確かさを付記した測定結果y ’を記述する場合は次の式で表されます。(測定結果をyとする)
y ’ = y ± U
たとえば、ある長さの測定値に不確かさを付け加えて記述すると、
100.05 mm ± 0.02 mm
(0.02 mmは拡張不確かさUで包含係数k=2で決定したもの)
となります。これは、100.05 mmが「測定結果」、±0.02 mmが「信頼区間」、添付の文が「信頼の水準」を意味します。つまり、上の記述では、「求めた測定値 100.05 mm ±0.02 mm の範囲に約 95%確率で真の値があります。」と言っていることになります。
不確かさについては、測定機器を管理されていると、測定機の校正をメーカーに依頼した際に、戻ってきた検査結果や校正証明書にそれが記載されているので目にされる方も多いと思います。しかし残念ながら、まだまだ実際のものづくりの現場には不確かさそのものの概念はほとんど浸透していません。企業の品質に関わるお仕事をされている皆様には、ぜひ不確かさについての知識を深めていただきたいと思います。